グローバル・土曜合同サロンが11月10日に行われました。今回のテーマは「インドから西へと流れる学問」です。この合同サロンは,SGH事業の一環として行われるグローバルサロンとSSH事業の土曜サロンとのコラボレーション企画です。数学を中心とした題材を扱う土曜サロンにグローバルな視点から切り込んでいくことを目的としています。
今回担当の長木先生から、「突然ですが,6世紀頃に数学にとってとても大きな出来事がありました。さて,何でしょう?」という問題提起から始まりました。グループ毎の話し合いの中で「インドで0が発見された」という結論が導き出されました。「では,0の発見は何故インドだったのだろうか?」。この段階では,哲学の話や宗教の話まで様々な意見が飛び交いました。「もともと古代ヨーロッパ人は,数を形のあるものと捉えられていた。」,「中でも特にアリストテレスは,空虚や無限の概念をとても嫌っていた。何もないことを表す0という数字は空虚を嫌う彼の哲学とは相性が悪かった。」,「さらに,彼の教えはヨーロッパ全土に根付いていたために,インドに先を越されたのだ。」との解説があり,哲学や宗教の影響が関わっていたことを知りました。「では,インドで発見された0が世界にもたらしたものは何か?」。生徒からは,シルクロードを渡ってヨーロッパへと数学が発達し,イギリスの産業革命につながったとの意見が出ました。まさに,イスラム帝国におけるアラビア数学が,近代科学の急激な発展につながり,物理学との融合を経て産業革命へとのストーリーが共有されました。時系列の流れもそうですが,確かに数学(学問)は,インドから西へと流れていく様子が確認されました。
ここからは,四方先生の登場です。「イギリス産業革命の産物として,蒸気機関や電気が発明され飛躍的に文明が発展してきた。そして,航空機や自動車の登場である。」,「アメリカ3大自動車メーカーに象徴されるように自動車産業やコンピューターにおける情報技術は,ヨーロッパから西の方向にあるアメリカへとシフトしていった。」「しかし,環境問題や諸々の技術革新において自動車メーカーとして生き残ったのは,さらに西に位置する日本なのだ。」と締めくくりました。また,小学校から高校までの数学の教科書に取り上げられている内容も,インドから始まり西へと推移しているとのこと。自然数の計算(インド・アラビア)から微分積分(ヨーロッパ)へ,更には情報とプログラミング(アメリカ)と確かに西へと数学の世界が流れているのが分かります。
次回の土曜サロンは,12月8日。テーマは「極限の世界から微分・積分へ」です。