5月13日に第2回土曜サロンが3号館2階の学習ルームで行われました。一学期中間試験直前にもかかわらず、スーパーサイエンスクラス1年生を中心に35名の生徒が参加し、中学生、本校OBや保護者を交えてのサロン的学習が展開されました。今回のテーマは、「円周率πを近似しよう」。まず、本校数学科教員の長木先生からパワーポイントを使って、古代から知られている円周率の近似法が紹介されました。その方法のうち、「モンテカルロ法」「ビュフォンの針」についての実験を行いました。
「モンテカルロ法」とは,偶然現象の経過をシミュレーションする場合に乱数を用いて数値計算を行い,問題の近似解を得る方法の総称で,面積1の正方形に対して,その中に四分円を描き,
1. 適当な量のビーズを持ち,なるべく様々な投げ方で(ランダムとなるように)投げる。
2. 正方形からはみ出たビーズはカウントしない。
3. 正方形内に入ったビーズと四分円に入ったビーズの個数を数える。(境界線上のものは四分円上に入るとカウントする)
4. これを 3~4 回繰り返す。
このデータをエクセルによって数値解析をし,π=(四分円に入った個数)/(全ての個数)×4によって,πの近似値を実際に計測しました。
「ビュフォンの針」とは,「針の長さをl,平面上の平行線の間隔をdとする。( ただし, l≦ d ) 針と平行線の交わる確率は,2 l/πd であることから,
1. 適当な本数の爪楊枝をもち,なるべく様々な投げ方で投げる。
2. 平行線の幅からはみ出た爪楊枝の本数はカウントしない。
3. 投げた爪楊枝の本数と罫線を交わった(接するのも可)爪楊枝の本数を数える。
4. これを 3~4 回繰り返す。
「モンテカルロ法」と同様に,エクセルによって数値解析をしπの近似値を計測しました。
ひと通りの講義・実験が終わった後、名古屋大学名誉教授の四方義啓先生から、円周率について数学史の話を絡めての説明がありました。その途中で「古代では無理数は悪魔であった」「素数は暗号として有用性がある」と話を切り出し、「何故だろう?」と問いかけました。グループ間でいろいろと意見を出し合い、四方先生の種明かしを聞きながら参加者は数学の不思議な世界にどっぷりと浸かりました。最後に、「円周率の近似の方法が実験から数式(級数)の形に変化した。より正確に近似しようとするとどちらの方がよいか」と生徒に投げかけて、古代から現代へと数学が変遷した流れを示すことで、「授業で習う数学をしっかりと理解することで世界が広がる」と締めくくりました。
次回の第3回土曜サロンは,6月17日に行われます