テーマ「猫はこたつで丸くなる・・・のは何故」
第1回土曜サロンが8階大会議室において、69名の名城生と中学生1名,保護者4名の合計74名で行われました。今回は、本校の数学教諭の梁川が問題提起をし,参加者との討論を行った後,名古屋大学名誉教授四方義啓先生が最後にまとめるという形態をとりました。
まず、「あなたにとって数学とは?」の問い掛けから始まりました。生徒や保護者から様々な数学に対する考えや思いが発表されました。梁川から、「数学とは何か」の問いに対して正解は無いのではないか。100人いれば100通りの数学観があるのかもしれない。しかし、万人に共通する数学の本質的な意義が在るはずではないかと発信されました。ならば、数学の歴史を辿ることでそれを見出そうと試みました。古代バビロニアの土地の測量や建造物の設計に数学がかかわり、古代ギリシャの数学やアラビア数学からは学問としての数学が発展した事実。近代・現代においては物理学や様々な学問との融合によって科学技術の発展に重要な役割を担ってきた。生徒からは,現在学習している数学が,そのような大昔から存在しており,しかも生活の中から自然発生していたことに驚きの声があがりました。これらの事実から、「数学は、文化であり、道具であり、生活そのものである」との意見が共有されました。中でも次のアインシュタインの言葉が印象的であったと事後レポートに書かれていました。「経験から独立した思考の産物である数学が、どうしてこんなにも見事に現実の事物に適合するのであろうか」
引き続き、定番である「実は、猫も数学を知っている」との発問に対して、2つの図が示されました。
問1「この2つの猫の絵は何をあらわしているのかな」
図1の猫 冬→丸まっている→熱を逃がしたくない→丸くなる→表面積が小さい
図2の猫 夏→伸びている→出来るだけ熱を逃したい→縦または横の長さを出来るだけ長くする→表面積が大きい
議論の過程で、猫は以下の数学の問題を経験的に知っていることがわかりました。
問題1 XY が一定という条件の下で、X+Y が最大になるのはどのようなときか
問題2 X+Y が一定という条件の下で、XY が最小になるのはどのようなときか
これらは、典型的な数学の問題が、実生活に即してみると、問題1は「長方形の周囲を与えたとき、その囲む面積を最大にせよ」として、問題2は「長方形の面積が与えられたとき、その周囲の長さを最小にせよ」として翻訳することが出来ます。これらの問題は、数学的な裏付けがなくても「正方形のときに最小になり最大になる」ことが経験上分かっています。数学は、学校の授業の中だけではなく、日常的に活躍していることが実感できたようです。それらの現象を応用した製品。例えば、やかんや冷蔵庫自動車の放熱器、パソコンのCPUの放熱器の形状やその意味などを確認し合いました。最後に、「シャボン玉はなぜ丸いのか?」をテーマに意見を出し合いました。
最後に,四方先生からそば,うどんの関係と伸びた猫と丸まった猫の関係は,数学的に解釈する(表面積の大小で考える)と同じであると説明しました。どのような関係も様々な角度から見ることが大切で,解釈の方法も無限にある。日常の現象も数学的に解釈することで,科学として発達し発明につながっている。このサロンでの学習成果をあらゆる場面で発揮してほしいとエールを送りました。
次回の第2回土曜サロンは、5月14日(土)14:00から8階大会議室で行われます。 テーマ:「五割カタツムリの話」極限について