平成31年度第1回土曜サロンが4月20日に行われました。今回は本校生徒110名に加えて、保護者の方々や他校の生徒の参加もあり、総勢120名を超え会場である3号館学習ルームでは立ち見が出てしまうほどの大盛況でした。今回のテーマは「極限の世界から微分・積分へ」です。
前半は,今回の担当教員の梁川先生から1/9,2/9,…,9/9という分数を小数に直すとどうなるのかという質問が出されました。様々な意見が出された結果、0.9999999・・・・・・=1 などのような循環小数が最後に有理数で表されることを中学数学で説明できることを確認しました。さらに中学数学から一歩進んで等比数列の和や無限等比級数の考えを学びました。この考えは、高校3年で学ぶ「数学Ⅲ」の概念で、限りなく小さな和も極限の考えを使うとほぼ0に等しくなることを実感しました。
次に、初項1/2、公比が1/2の無限等比級数が公式を使わなくても面積の考えを使って図で説明できることも分かりました。
無限大の次は無限小です。平均の速さから瞬間の速さを求める概念です。物理基礎の授業で習う運動方程式の問題です。ここでは、平均の速さと2点を結ぶ直線の傾き、瞬間の速さと接線の傾きの関係から説明することができました。現実の事象を数学で説明することができました。このような事実がゴロゴロ転がっているのが微分・積分の世界です。最後は、曲線と直線に囲まれる面積です。ここまでの議論の過程から、自然発生的に区分求積の考えが生まれました。限りなく細分化した長方形の和が曲線と直線に囲まれた面積となることが理解できました。
後半は,名古屋大学名誉教授の四方先生から、どのような過程で極限の概念が必要となったのか,この概念がニュートンやライプニッツによる微分・積分につながり,今日の文明の基礎をなすことになったと説明がありました。インドで発見された0の概念やアラビア数学によって、物理的な現象が数学の理論として確立され、物理学へと発展してもたらされた概念ということでした。いわゆる、これが微分・積分の始まりであるとのことでした。余談ながら、柳生流真剣白刃取りの極意は、微分・積分の考えをもとに刀の軌道を予測したものであるとの説明がありましたが、納得できた生徒はあまりいませんでした。
最後に,本来なら数学Ⅲで履修する内容の無限等比級数も,ちょっとした発想の積み重ねで十分理解できる。公式から学ぶのではなく,既知の知識の積み重ねを意識することが大切であり,その学習の場の一つが土曜サロンであると締めくくりました。
次回の土曜サロンは,6月15日に行われます。