第2回土曜サロンが6月15日に学習ルームにて行われました。今回は、「シミュレーションをやってみよう!」をテーマに、パソコンを利用して実際のデータを用いたシミュレーションを行う予定でしたが、四方先生から「新聞のWebページを使って、高校生から大人向けの科学解説を企画したい」との提案があり、急遽「歴史から解き明かす数学の役割」をテーマにサロンが展開されました。
18世紀後半のフランス革命以降、混とんとしたフランスで天才軍人が台頭したがそれは誰か?との問いがありました。間髪入れずに、ナポレオンの名が挙がりました。何故、ナポレオンが皇帝となり得たのか?様々な意見が出された後、次のような説明がなされました。17世紀後半にニュートンが発見した星の運動の方程式は、大砲の弾の方程式でもある。ナポレオンは、そこに目をつけ、ニュートンの方程式を使えば大砲がよく当たるかもと考えた。そこで、ナポレオンの命令でフランスの大学校ポリテクニックでは、ニュートン方程式とその応用を研究した。その結果、ナポレオン軍の大砲は無敵になった。すなわち、数学を利用することで勝ちを得ることができたのである。(戦争利用に関しては考えさせられるところもあるが・……)
1970年代にも同じようなことが起きていた。自動車の排気ガス規制(マスキー法)に対するアメリカと日本の対応である。日本では、ホンダを筆頭に数学の力(例えば、流体力学の応用など)を利用して、この問題をクリアーした。アメリカにはそれが出来なかった。デトロイトの衰退とトヨタの隆盛である。このように、戦争ばかりでなく、私たちの生活の中に数学が深く関わっているのである。
後半は、「海賊と探偵とCTスキャン」と題して、以下の課題について話し合いました。「図のような9つの四角に中に海賊が宝物を隠した。探偵は逃げた海賊を捕まえて宝を手に入れねばならない。ただし、使えるのは砂場くらいの長い棒一本であり、探偵は海賊を捕らえると、この棒を砂場に置いて、宝はこの下にあるかと聞くことができる。また、海賊は正直にイエス・ノーを答えて、逃がしてもらう。海賊を何回捕まえることで宝を見つけることができるか?」グループごとに話し合った結果、最低4回後に宝が見つけられることがわかりました。四方先生からは、フローチャートの考えや連立方程式を使えば、より複雑な問題も解決できるとして、この原理が「CTスキャン」の元になっており、日本の東芝が開発したとの説明がありました。数学をはじめとした科学リテラシーを身に付けることの必要性を考えさせるテーマでありました。次回の土曜サロンは,7月6日に行われます。