第3回土曜サロンが6月16日、3号館2階学習ルームにて行われました。今回は本校生徒39名に加えて、初参加の保護者の方々も見られ、45名でのサロンとなりました。
今回のテーマは「5×4=4×5? 掛け算に順序は必要?」というテーマです。
まず初めに、今回のテーマの担当者である鈴木先生から、新聞のコピーが配られました。その新聞には大きく『〇「5×4」×「4×5」』『掛け算の順序 学び始めに必要?』という見出しがついていて、まずはそれを読むようにと指示がありました。この新聞の内容は「1皿に5個ずつ入ったみかんの4皿分の個数」を求める問題があったとき、「5+5+5+5=5×4」とするのが正解であり、「4×5」とするのは間違いであるとする、ということについて、肯定派と否定派の意見が紹介されていました。それを読み終えた後に各テーブルで意見を交換し、全体で発表してもらったところ以下のような意見が出ました。
肯定派:最初は式の意味を理解させるためにきちんとやるべき。あくまでもみかんの個数を基準にして何セットあるか考えるべき。
否定派:「5」や「4」という数字が何を表すのか分かればどちらでもよい。 交換法則もあるし、生徒の自由な発想を育てるほうがよいのでは。
このテーマについては専門家の間でも賛否が分かれるようで、サロンに参加した生徒たちの間でも熱い議論が繰り広げられていました。
ここで鈴木先生から「英語で5×4=20はどうなると思う?」という質問が投げかけられました。英語担当の伊藤高司先生からの解説が入り、2通りの表現があることがわかりました。一つ目は「5 multiplied by 4 is 20.」(4によって増やされた5。)、二つ目は「5 times 4 is 20.」(5回の4。)です。この英文を例に考えてみると、英語圏でも「5×4」の考え方も「4×5」の考え方も両方存在しているように見えます。また、日本でも漢数字の「三十」のように、「3つの十のかたまり」という書き方をする場合があることや、算木を使っての計算方法を例に、古来の日本でも「4×5」の考え方が存在していたことが示されました。さらには九九の歴史や英語圏の九九を取り上げ、今使われている九九だけが正しいわけではない、色々な見方があるということが実感できました。
四方先生からは、昔話のかぐや姫やクレオパトラなど、歴史上の出来ことを例に数字の見方を考えるという話題が提供されました。例えば、お釈迦様は男も女も王様も奴隷もすべて等しく「1」と数えたことを例に挙げ、この考え方が当時のインドのカースト制度とは相容れなかったため、ヒンドゥー教が勢力を広げいていったことなどが説明されました。最後に、「5×4も4×5も、何も書いていなかったらただの数式だが、そこに何か単位がついたり数字が意味を持ってきたとたんに、歴史の背景が見えてくる。」と締めくくられました。
次回の第4回土曜サロンは、7月7日(土)14:00から「幾何学模様の不思議」というテーマで行われます。