日々の活動

第3回サイエンスサロン

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令和5年度第3回サイエンスサロンが6月15日に3号館2階学習ルームにて行われました。今回は、名古屋大学大学院理学研究科准教授の邨次智先生をお招きしました。テーマは「触媒が魅せる最先端の化学研究」です。参加者56名の生徒は、中学・高校と授業で扱われる触媒についての最先端の研究を高校生レベルにかみ砕いた講義が展開されました。

先生の自己紹介に続いて、「触媒とは」の説明がありました。中学の教科書を引用し「触媒は、化学反応においてそのもの自身は変化しないが、反応速度を変化させる物質」とし、身近な具体例を通じて触媒のおさらいをしました。

しかし、実際には触媒反応では、反応物は触媒との弱い結合によって別の化合物(反応中間体)となり、この反応中間体を介して反応が進行する。そして、この反応中間体の形成と分解がエネルギーの低い状態で進行するため、反応が進行しやすくなっている。教科書では、触媒は反応の前後で変化しないとあるが、実は反応の途中では変化しているとの説明がありました。触媒には、反応物と素早く反応中間体を形成すること、目的とする反応のみを特異的に行うこと、生成物との分離後は変化せずに素早く元の状態に戻ることが必要になるとのことです。

さらに、触媒は大きく分けて二つの種類に分けられ、均一系触媒(金属錯体)と不均一系触媒(粉状)です。具体的には、均一系触媒は、溶液などに溶けて働く触媒で、酸や塩基、金属に有機化合物が結合した錯体触媒などがあります。均一系触媒は、多くの有機合成反応に用いられており、反応物質とともに溶けて働くことから、目的の反応のみを特異的に行う場合などに適しているそうです。もう一方の不均一系触媒は、固体状態のまま働く触媒で、金属酸化物や、活性炭やアルミナなどの担体に貴金属などの活性成分を固定化させた担持触媒などがあります。不均一系触媒は、生成物との分離が容易であることや、繰り返し使用が可能であることなどから、化学物質を大量に生産する工業プロセスや、自動車の排気ガスの浄化などに用いられているそうです。

先生は、新規触媒の開発に取り組んでおり、錯体を用いて均一にするため、均一系触媒と不均一系触媒を組み合わせるなど様々な実験を行っているとまとめました。

参加した生徒は、触媒が日常の中で様々な場面で活用され、さらに進化し続けていることを知り、食い入るように先生の講義を聞いていました。 次回のサイエンスサロンは,7月6日に行われます。テーマは「科学の不思議を解き明かせ」です。