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第4回土曜サロン

  • SSH

 9月28日に第4回土曜サロンが3号館2階の学習ルームで行われました。今回のテーマは、「円周率を求めよう」。本来は、本校教員による問題提起からサロンが展開されるのですが、今回は、スーパーサイエンスクラス3年の浄土遼太君の進行によりサロンが行われました。浄土君は、今年の8月に神戸で行われたSSH生徒研究発表会にて「モンテカルロ法を用いた円周率の導出」というテーマで研究発表を行いました。この発表内容をベースとして、簡単な実験を交えてサロン的学習が繰り広げられました。

問題提起1 円周率πとは何だろう?
  ・円の周の長さと半径の比率に出てくる無理数である

問題提起2 領域を1:1の比に分け無作為に点を打つとき、片方の領域に入る確率は?
 ・特定のことが起こる確率=(特定の面積)/(すべての面積)
 ・(特定のことが起きた回数)/(すべての回数)=(特定の面積)/(すべての面積)
 ・面積比にπを含まれれば、特定の事象が起きた回数からπが求められるのではないか。 

実験1 面積1の正方形に対して,その中に四分円を描き,
 1. 適当な量のビーズを持ち、なるべく様々な投げ方で(ランダムとなるように)投げる。 
 2. 正方形内に入ったビーズと四分円に入ったビーズの個数を数える。(境界線上のものは四分円上に入るとカウントする)

10班のデータをエクセルによって数値解析をし、π=(四分円に入った個数)/(全ての個数)×4によってπの近似値を実際に計測しました。当然のことながら、データ数が限られているので、円周率πの値の誤差は無視できない値となりました。そこで、この実験をパソコン上でシミュレートしました。浄土君独自のプログラムで、乱数を用いて半径1の円周とそれを囲む1辺の長さ2の正方形に点を打ちます。点の個数は自由に設定でき、個数を増やせば増やすほど円周率πの誤差が小さくなることが実感できました。さらに、球と立方体のように次元を増やしたらπの精度がどうなるかなどプログラムを実行させながら確認しました。理論上は、精度が増すと推測できたが、パソコン上でのシミュレーションでは必ずしもそうはならなかったとの報告がありました。

実験2「ビュフォンの針」 間隔tの平行線上に長さの針を落とすとき、針と平行線の交わる確率は,2/πt である。
 1. 適当な本数の爪楊枝をもち、なるべく様々な投げ方で投げる。
 2. 平行線の幅からはみ出た爪楊枝の本数はカウントしない。
 3. 投げた爪楊枝の本数と罫線を交わった(接するのも可)爪楊枝の本数を数える。

 実験1と同様に,エクセルによってπの近似値を計測し、パソコン上でのシミュレートも行いました。

 最後に、名古屋大学名誉教授の四方義啓先生から、円周率について数学史の話を絡めての説明がありました。古代エジプトやバビロニア、インド、ギリシャでは、円周の直径に対する比率が円の大きさに依らず一定であり、それが3より少し大きい程度だということは、すでに知られていた。「円周率の近似の方法が実験から数式(級数)の形に変化した。より正確に近似しようとするとどちらの方がよいか」と生徒に投げかけて、古代から現代へと数学が変遷した流れを示すことで、「授業で習う数学をしっかりと理解することで世界が広がる」と締めくくりました。

次回の第5回土曜サロンは,10月26日に行われます。テーマは「化学の不思議」です。