9月30日に第5回土曜サロンが行われました。今回のテーマは「五割カタツムリから極限の世界へ」です。
今回のテーマに入る前に,12月に行われる「SSHタイ王国海外研修」,「SSH台湾海外研修」に参加する生徒20名による,研究発表の概要紹介を行いました。サロンの後半に行う予定でしたが,プロジェクターの不具合のため急遽最初に行うことになりました。にもかかわらず,生徒たちは堂々と研究発表の内容を紹介することができました。
前半は,梁川先生からお釈迦様の逸話として,インドで天に昇っていくカタツムリが初日に目標とする距離の半分(五割)を昇り、翌日からは前日の半分(五割)を昇っていった。さて,このカタツムリは目標にたどり着いたでしょうか?という質問で始まりました。参加者は,座席ごとにグループを作り話し合いました。各グループの結論として,一所懸命頑張ったのだから天に届いたという感情的な結論や,実際に計算をすると限りなく天に近づくけれど届かないなどの発言がありました。梁川先生からは、理論上はカタツムリは天に届かなかったが、お釈迦様のご慈悲で天に迎え入れられたという道徳的な話でまとめました。参加者からは,納得できないとの意見が噴出しました。そこで,視点を変えて数学の話として見てみようと再提案がなされました。
これから,君たちが数学の教科書で習うであろう,極限の話(無限等比級数)につながると前置きの後で、1/9,2/9,…,9/9という分数を小数に直すとどうなるのかという質問が出されました。0.9999999・・・・・・=1 などのように,循環小数が最後に有理数になることを中学数学で説明できることを確認しました。さらに,より正確にアプローチすると,図に示す式に帰着することができることが分かりました。
後半は,名古屋大学名誉教授の四方先生から、どのような過程で極限の概念が必要となったのか,この概念がニュートンやライプニッツによる微分・積分につながり,今日の文明の基礎をなすことになったと説明がありました。実は,ほぼ同時期に日本の和算においてもこの微分・積分に匹敵する理論が,関孝和によって確立されていたそうである。しかし,実際に数学の理論として確立され物理学へと発展していったのは,西洋の微分・積分であった。その理由は,インドで発見された0の概念やアラビア数学によってもたらされたということでした。
最後に,本来なら数学Ⅲで履修する内容の無限等比級数も,ちょっとした発想の積み重ねで十分理解できる。公式から学ぶのではなく,既知の知識の積み重ねを意識することが大切であり,その学習の場の一つが土曜サロンであると締めくくりました。
次回の土曜サロンは,10月21日。テーマは「絶滅の謎を解き明かせ! 地球捜査班」です。
第5回土曜サロン
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