12月8日に第8回土曜サロンが行われました。今回のテーマは「極限の世界から微分・積分へ」です。
前半は,今回の担当教員の梁川先生から1/9,2/9,…,9/9という分数を小数に直すとどうなるのかという質問が出されました。0.9999999・・・・・・=1 などのように,循環小数が最後に有理数になることを中学数学で説明できることを確認しました。さらに中学数学から一歩進んで等比数列の和や無限等比級数の考えを学びました。限りなく小さな和も極限の考えを使うとほぼ0に等しくなることを実感しました。
次に、初項1/2、公比が1/2の無限等比級数が公式を使わなくても面積の考えを使って図で説明できることも分かりました。
無限大の次は無限小です。平均の速さから瞬間の速さを求めます。物理基礎で習う運動方程式の問題です。平均の速さと2点を結ぶ直線の傾き、瞬間の速さと接線の傾きの関係から説明することができました。現実の事象を数学で説明することができました。このような事実がゴロゴロ転がっているのが微分・積分の世界です。最後は、曲線と直線に囲まれる面積です。ここまでの議論の過程から、自然発生的に区分求積の考えが生まれました。限りなく細分化した長方形の和が曲線と直線に囲まれた面積となることが説明できました。
後半は,名古屋大学名誉教授の四方先生から、どのような過程で極限の概念が必要となったのか,この概念がニュートンやライプニッツによる微分・積分につながり,今日の文明の基礎をなすことになったと説明がありました。実は,ほぼ同時期に日本の和算においてもこの微分・積分に匹敵する理論が,関孝和によって確立されていたそうである。しかし,実際に数学の理論として確立され物理学へと発展していったのは,西洋の微分・積分であった。その理由は,インドで発見された0の概念やアラビア数学によってもたらされたということでした。
最後に,本来なら数学Ⅲで履修する内容の無限等比級数も,ちょっとした発想の積み重ねで十分理解できる。公式から学ぶのではなく,既知の知識の積み重ねを意識することが大切であり,その学習の場の一つが土曜サロンであると締めくくりました。
次回の土曜サロンは,1月26日に行われます。