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第8回土曜サロン

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第8回土曜サロンが12月9日に行われました。まずは担当者の鈴木先生から、二人の赤ちゃんの写真の提示がありました。二人の内一人はハーフであり家庭内では英語と日本語で会話をしています。もう一人は両親とも日本人です。当然家庭内での会話は日本語です。今回のテーマ「人はどうやって言語を習得するのか」では、この二人の赤ちゃんの最初の言葉を聞いてから実例を基に話す予定であったが、まだ6か月で言葉がでていない。そこで、テーマを「Language」に変えて普段は気付かない日本語の特徴について考えてみたいという話があり講座が進んでいきました。赤ん坊が言語を獲得する過程についてはかなり研究が進んでいることから、研究者のパトリッククールさんのプレゼンテーションをユーチューブで確認をしました。そこでは、生後10か月から12か月の間赤ちゃんの脳では劇的なことが起こっていることが述べられていました。この時点で赤ちゃんは言語を「統計処理」しているという内容でした。鈴木先生は、昔から狼に育てられた子どもの観察から、人間は放っておいては勝手に言葉をしゃべったり社会生活を送ったりすることはできないことに触れ、このことは次年度のサロンで発表予定であると発言がありました。
 今回のテーマに沿ってまず「女言葉(おんな+ことば)」と「女心(おんな+こころ)」という二つの言葉を示し、女の後の語句はどちらも清音なのに女と一緒になると濁音になる場合とならない場合があるのは何故か、自分たちで例を探して法則を見つけてみようと質問があり、テーブル毎に話し合いを行ないました。意見交換の後、明治時代にアメリカから来たライマンという鉱山技師が、二つ目の語句に濁音が含まれると連濁はおきないという、ライマンの法則が紹介され、日本人は当たり前のように使っていて不思議にも思わないが、外国人の方が敏感に感じると紹介があり、生徒たちも納得していました。
 次に、同じように子供は言葉の不思議さに敏感であることが、50音の中でカ・サ・タ・ハ行は濁音を付けたガ・ザ・ダ・バ行があるが他の行にはことを、子供にハにテンテンヲ付けるとどうなるかという問いがありました。生徒たちは、分からないとかガと答えたりとか様々な回答がありまとまりませんでした。しかし、カとハを発音すると音の出る位置が違うが指摘され、子供はその違いを敏感に感じているからさっきのような回答につながると説明があり納得した様子でした。更に、このことは、無声音と有声音の違いに繋がることが指摘されました。また、日本語は文字(子音+母音)が発音の単位になるが英語では発音記号を見ると音節が発音の単位になることが示され、日本語では拍という単位と捉えることができ、楽譜を見ると一目瞭然であるということを実際に童謡やマザーグースの歌、ポピュラーソング楽譜を示しながら説明がありました。最後に、子供は言葉に敏感であると同時に、言葉を獲得する段階で誰かから教えられるのではなく、大人の言葉を聞きながら自分で法則を見出そうとしていることが指摘され、保護者特に母親は胎児がお腹にいる時から話しかけることが重要であると締めくくられました。
 後半は、四方先生からとても興味深い研究であるが、言語学や統計学などあらゆる分野の知識が必要で難しい分野でもあると困っていました。無声音と有声音の違いについては、オシロスコープなどで波形の違いで目で見ることができるので、次の機会では実験してみようとの発言がありました。また、パトリック先生のプレゼンの中で赤ちゃんの脳の働きを脳磁図(MEG)で調べるとあったが、この種の研究はアメリカが一歩も二歩も進んでいるが装置そのものは日本製が多い。見えないものを見る、見えるようにする技術とともに何故そうなるのか、どのように応用できるのかまで考え、議論することが必要であると締めくくりました。
次回は、1月27日。テーマは「こんなに便利な指数・対数」です。