9月28日(土)に「チャンスの掴み方〜準備は、いいか?」をテーマに第3回グローバルサロンを開催しました。講師はNGOで国際的な活躍をしている一場翔貴さんです。一場さんはタイで生まれてインドネシアで育ったそうで、豊富な海外経験から生徒達に伝えたいことがある、とのお話でした。
今回のグローバルサロンは一場さんからの問いかけを中心に展開しました。最初のテーマは「チャンスに対する姿勢」の文化毎の違いについてです。
チャンスを掴める人とは「自分の目指すものは何か」が意識できている人、普段から感覚を研ぎ澄ませている人です。一つ目のアドバイスは、自分のやりたい事をしっかりと見つめることの大切さについてでした。
ここからは「グループセッション」に移りました。次の話は、チャンスに向き合う姿勢の比較についてです。
日本人の姿勢は「ゴルフ型」で、海外で活動する人たちは「ラグビー型」だそうです。日本人は「チャンスに対して受け身」で、「自分の順番が巡ってくる」のを待っていますが、海外の人は「一つのボールを全員で取りに行く」ラグビー型の社会なのだと話されました。「チャンスは平等だと思いますか」という一場さんの問いに、多くの生徒が「平等である」と答えましたが、「チャンスは不平等」(であるので、積極的に取りに行け)という一場さんの「解答」は多くの生徒にとっては新しい発見だったようです。
一場さんが「本論」として次に述べたのは「計画的偶発性理論」についてです。
これは一場さんの造語だそうですが、この日の「生徒へのメッセージ」の中核をなす話でした。これには一場さん自身のこれまでの多面的な活動での実感が込められています。
社会で「成功」は、自分一人だけの力によるのではなくて、周囲の環境(周りの人や状況など)に助けられた結果です。自分の周囲と協働こそが「成功者になる」ための鍵です。成功者には、「好奇心/持続性/楽観性/柔軟性/冒険心」という共通点があり、自身の前向きな特性に加え、周囲の人とのコミュニケーションが協働の秘訣であるそうです。
真面目な日本人が自らの弱点を克服しようとするのは、協働や成功の「障害」であるとも指摘されました。協働とは「みんなで遠くまで行く」ことであり、「自分の得意分野を持ち寄って互いに補う」ことです。「自分の苦手分野に拘泥」するのは「時間の無駄」に過ぎないという指摘は、国際感覚豊かな人ならではのものと思います。
お話のまとめは、「夢と志を持った少数派であれ」という言葉でした。
「利己的なもの」である「夢」「願望」に、「利他的なもの」を重ねた「志」を持ち、孤立を怖れない勇気をもつことで、物事を成し遂げる人になりましょうとの呼びかけは生徒に強い印象を残したようです。
講演後の質疑応答で、ある生徒が「思いを伝えきれない」ことを質問した場面は、本日の学びの本質がよく表れた瞬間でした。一場さんからは「伝えるためには知識も必要です」とのアドバイスがありましたが、同時に「そもそも、思いは伝わるものだ」との思い込みの危険性も指摘されました。我々の多くが生きている「同質的な社会」と、一場さんの過ごしてきた「多様な社会」との違いが際だった瞬間であり、ここに本日のサロンの全体を貫くテーマが鮮やかに示されていたように感じられました。